♪た〜いやヒラメの舞い踊り〜♪と浦島太郎が竜宮城でもてなされたと歌われているように、古来、平目は真鯛と双璧をなす白身の最高級魚。その透き通った身の美しさは見る者を魅了します。
平たい体の表は黒い皮、裏は白い皮で覆われ、目は表面に寄り、海底の砂地からギョロッと上を見ています。でも、実はこの平目の目、生まれた時は他の魚たちと同じように、左右についているのです。それが成長に伴い、右目が徐々に移動し始めて鼻の上を通り越して左目と並ぶ位置に来るのです。
平目の泳ぎ方は独特で、尾びれをドルフィンキックのように上下させながら、胸びれを背びれのように立てて泳ぐ…と書きながら、平目にとってはどちらが上でどちらが側面なのかわからなくなってきます。目と口の位置関係が人間からするとなんともアンバランス、平目は不便を感じていないのだろうか。「左ビラメの右カレイ」とヒラメとカレイを見分ける方法があり、たいていの写真はその向きで撮られているが、黒い皮の方は、側面なのか上なのか!?普通は背びれがある方が上だよなあ。
それはさておき、平目はその平たい体と体色を変化させる「忍法」を使って、砂地では砂を被って砂と同色に、岩礁であれば岩の表面に貼りつくようににして岩と同色になって巧みに潜み、目の前を通過する魚をパクッ!襲われる魚はどんなに驚くことか。(魚だけにギョッ!)
平目は煮て良し、蒸して良し、焼いて良しではありますが、やはり活け締めの刺身が天下一品。薄造りにして香りと食感をご賞味あれ。また、背びれと胸びれを動かす筋肉は「エンガワ(縁側)」と言われ、歯応えと旨味が人気です。
近年は天然物は減り養殖物が主流。養殖物も年々味は良くなっていますが、やはり天然物は別格。チャンスがあれば奮発してみてはいかがでしょうか。1~1.2kgのものが一番良いサイズ。適度に脂がのった濃い旨味を味わえば、感動の舞い踊り〜♪